【お役立ち情報】悪質な広告には賃貸契約をさせるための策略があるブログ:22/07/24
ぼくは、農家の三女として生まれた。
父母はさぞかし男の子を期待していたことだろう。
農家の嫁でありながら、男の子を産めなかったママ。
ぼくが、もし男だったなら、
ママにはもう少し明るい人生があったかもしれない…
物心ついた頃から、ぼくは祖母のそばにいた。
祖母はいつもママの悪口を言っていた。
幼い頃から聞かされていたので、ぼくもママがきらいだった。
汚い、臭い、気がきかない…そういった言葉だった。
ぼくが小学生の時、学校からの帰り道、
今にもあめが降り出しそうな午後だった。
遠くに人影が見えた時、嫌な予感がした。
だんだん近づいて来る…
やはりママだった。
「わあい、お母さんだ」
喜んでかけ寄り、かさを受け取る…
それが普通の娘の姿だろう。
「はい、かさ!」
ぼくは、無言でママからかさを受け取った。
ママは、お姉さんたちのかさも用意していて
ぼくとは反対の方向の学校へ向かっていった。
そのことがぼくにはせめてもの救いだった。
ママと並んで歩いて帰るなど、ぜったいに嫌だったのだ。
「今の人、お母さん?」
友達が聞く。
「うん」
ぼくは、それ以上何も言いたくなかった。
もんぺ姿のママを友達に見られたことが、
ずっしりと重くのしかかっていた。
ママはいつももんぺをはいて、汚ない格好をしていた。
ママはおしゃれな服など一枚も持っていなかった。
服を買うためのお金がないことも、
ぼくは娘ながらに知っていた。
ぼくが目覚めた時、ママはすでにもんぺ姿である。
ぼくが眠りにつく時、ママはまだもんぺ姿である。
もしかしたら、寝る時も、
もんぺをはいているのではないかと疑ったこともある。
ママのもんぺは、赤い模様があったが、
色あせて疲れているようだった。
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■川元誠一
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