【お役立ち情報】不動産屋は管理物件を多数抱えている店舗へブログ:17/08/10
幼かったムスメが大好きだったもの、
それはボクの「耳たぶ」。
甘えたい時、眠い時、不安な時…
いつだってムスメはボクの耳たぶを求めた。
小さく温かい指で触れられると、
とてもくすぐったかった。
それでも、何だかほんのり心地良くって、
ついついボクの方が先に眠りこんでしまうこともしばしばあった。
あるばんのこと。
いつもムスメの右側で寝ていたボクは、
たまたま左側で眠っていた。
ムスメが動く気配で目が覚めると、
ムスメが右側にいる旦那の方に転がっていくのが目に入った。
そして旦那の耳たぶを触り始めたのである。
あれ?と思った瞬間、ムスメの手がとまり、
目がはっと見開かれるのが分かった。
右、左、ときょろきょろ頭を動かすと、
あわててボクの方に寄ってきて、
耳たぶを触り始めたのである。
ムスメは、ボクと旦那をまちがえたのだ。
でも耳たぶの感触ですぐに気づいたのだろう。
安心しきったムスメの寝顔を見ながら、思わずふきだしてしまった。
ムスメに耳たぶをゆだねている時は、
なぜか母乳をあげていた時と同じ気持ちになれた。
求められる嬉しさ、母親としての喜び、
無垢な優しさがじんわりと胸に広がっていく…
けれど、ムスメはボクの耳たぶを卒業してしまった。
遠慮がちに触っているなぁと感じるようになったあるばん、
触りやすくしてあげようと頭の向きを変えた時、
ムスメの指がふと離れた。
そしてそれ以来、
ムスメの指がボクの耳たぶに触れることはなくなってしまった。
「耳たぶなんて覚えてないよ」と八才になったムスメは笑う。
それでも、ボクは決して忘れないだろう。
あの頃耳たぶに感じていた小さなぬくもりを…
ささやかな幸せの一時を…